サステナビリティレポート

2022

会計年度
2021年4月1日~
2022年3月31日

13th edition

会長からの
メッセージ

Photo: Giovanni Gastel

ステークホルダーの皆様へ

今年、サステナビリティレポート第13版(ポケット版)を発行するにあたり、私たちは、サステナビリティの分野でパイオニア的な役割を果たす当社のユニークな側面を強調することが重要であると考えました。それは、ひとつひとつの行動が痕跡を生み、それがステークホルダーに大きな影響を与え、やがてその影響が広がっていくという認識です。この痕跡によって、私たちが過去に方法論的に行ってきた厳格な道筋を強調し、サステナビリティに向けた各ステップを検証し、最大の透明性を追求するとともに、虚偽の申告の可能性を排除したいと考えているのにほかなりません。それらは科学的な証拠と認証に裏付けられている事実に基づいたアプローチであり、真実性のない議論を呼ぶような「グリーンウォッシュ」的な手法ではないことが明らかなのです。

当社がこれまで真摯に取り組んできたサステナビリティ活動は間違いなく正当に評価されるべきことであると信じています。

また、私たちはサステナビリティを到達点にはせず、重要な出発点としてとらえ、ベストプラクティスに細心の注意を払い続けています。

サステナビリティへのコミットメントの主要なステップは、次のようにまとめることができます。

  • 気候変動との闘いを管理するために私たちが設計した行動を定義し、「ゆりかごから墓場まで」というアプローチによる認証済みのカーボンニュートル。
  • 削減プロセス後の残留排出量を中和するために、私たちが参加する認証済み、そして検証済みのオフセットプロジェクト。
  • 認証済みポストコンシューマーリサイクルポリエステルを使用した新しい製品ライン。
  • 第6回を迎えたサステナビリティ国際シンポジウムのようなステークホルダーエンゲージメントの活動。

サステナビリティは当社の企業文化に深く根ざしたコアバリューでありながら、重要な成長ドライバーの中の事業戦略を発展させる原動力です。
サステナビリティは、グローバルに受け入れられるべき目的であり、それ以外に方法はありません。私たちの旅にお付き合いいただき、サステナビリティに関するあらゆる問題について対話を続けていくことこそ、私たちからの約束に他なりません。私たちは、責任感と広い視野を持ち、次の軌跡を歩んでいきます。

Andrea Boragno
Alcantara S.p.A会長兼CEO

Alcantara®は、
革新的な素材

Alcantara S.p.A.
同名の素材を世界中で製造・販売する
唯一のイタリア企業

Alcantara®
ユニークな独自技術から
生まれたAlcantara S.p.A
登録商標


当社の適用分野

自動車

インテリア、
コントラクト、
船舶・航空

家電

ファッション・
アクセサリー

当社のコアバリューを反映する具体的で事実に基づく測定可能な活動を通
じて、虚偽の申告を避け、最大限の透明性を追求しています。

50年にわたる
企業歴史

2009年から
カーボンニュートラル
を実現

第13版
サステナビリティ
レポート

事実に基づくアプローチの採用

私たちは、長年にわたり、サステナビリティのベストプラクティスを中心に据えた取り組みを続けて、事実と科 学的根拠に基づいた、私たち独自のアプローチによって実践されてきました。
このようなサステナビリティレポートとカーボンニュートラルは、取り組みを始めた当初より、信頼できる第三者機関によって認証されています。


2009年からカーボンニュートラルを実現

当社は、2009年以降毎年TÜV SÜDの認証を受けているイタリア、ならびに、世界においても初めてカーボンニュートラルを達成した製造メーカーの一つです。
これは、生産工程だけでなく、製品の使用・廃棄段階を含めて、CO2排出量が実質的にゼロであることを意味します。

価値ある情報開示

今年で13年目を迎えるサステナビリティレポートは自主的に作成されるもので、当社の社員、サプライヤー、ビ ジネスパートナーとの関わりにおいて欠くことのできない、極めて重要な「軌跡」です。
また、有効な自己評価ツールでもあり、私たちの活動内容や将来の計画を完全に開示する、保証された透明 性確保のための活動でもあります。


グローバルコンパクトのメンバー

2022年度に当社は5年連続で国連グローバルコンパクト(UNGC)およびグローバルコ ンパクトネットワークイタリア財団(GCNI)に加盟。引き続き、UNGCの10原則を尊重・ 推進するとともに、17個の持続可能な国連開発目標(SDGs)のうち、16個の目標の推 進に貢献することを表明しています。

将来を見据えて

2022–2025年版サステナビリティレポートは、4つの柱と23個の具体的な目標で構成されています。この4つの柱は、私たちのアイデンティティそのものであり、サステナビリティの目標とその達成手段を設定するためのツールでもあります。

地球
環境のサステナビリティ
気候変動 カーボン
ニュートラル
循環経済
エネルギー効率 ウォーター
フットプリント
再生可能燃料
環境への影響
社会の持続可能性
労働者の
健康と安全
企業市民活動
芸術文化の振興
トレーニング
サステナビリティに
貢献するブランドとしての
Alcantara®
社会的影響のある国際プロジェクト
若者の雇用の増加
豊かさ
経済的持続可能性
サプライチェーンへの関与
持続可能なイノベーション
サステナビリティ
への投資
税金の透明化
サステナブルな経営
サステナビリティ経営
サステナビリティレポートの起草 非財務報告
ステークホルダーとの
対話と評判
サステナビリティ委員会 透明性と
リスクアセスメント

私たちは、厳格さと説明責任を持って業界のパイオニアとしての役割を果たし、
特にサプライチェーンが同じ長期的なビジョンを尊重し、受け入れることを奨励・支援しています。

4,000万ユーロ
の投資額

5,900万ユーロ
の分配付加価値

46%
の現地サプライヤー

複雑な状況の中
事業を展開

過去2年間の予測不可能で異常な出来事は、経済的に、そして社会的にもかなりの影響を及ぼしました。
産業界においては、原材料およびエネルギー価格の上昇により、世界中のすべての事業に大きな影響を与えました。しかし、私たちは、主要なステークホルダーのために、費用対効果の高い方法で利益を創出し続けています。


健康、安全、環境に配慮した投資の実施

サプライチェーンの管理においては細心の注意を

製品が高いコンプライアンス基準を満たすために、サプライチェーンが極めて重要であると考えています。この ため、サプライヤーの選定と管理には、私たちが採用したサステナビリティ、品質、安全性のポリシーの尊重を 確保することを
目的とした対策と手順を適用しています。

合計

1,399

サプライヤー

優先サプライヤー

128

2021年度から
+3社

86

コア

42

スーパー
コア

2022年度においては、サプライヤーの皆様に当社の環境サステナビリテ ィモデルをご理解いただくため、従来から実施しているオフセットプロジェクト の株式購入によるCO2排出量算定とオフセットの対象サプライヤーを拡大 するなどの取り組みを継続しました。

2020年から2022年

46件の監査

39%

外部監査人

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私たちは、従業員に対して大きな責任があると認識しており、事故の監視と
予防に取り組み、全従業員の安全を第一に考えています。

+5.7%
当社従業員数の増加

85.8%
当社正社員数

+34.4%
2021年度対比の
研修実施時間数

人財の価値を知る

人材こそが当社の成功の鍵です。従業員のコミットメント、プロフェッショナリズム、スキルがあってこそ、当社は事業とそのステークホルダーのために経済的、社会的、環境的価値を創造することができるのです。

2021年度

616

2022年度

651

2021年度 vs 2022年度

+ 5.7%

当社の掲げる大いなる目標

従業員の安全を確保することは、当社の最優先事項の1つです。事故ゼロの目標を達成するために、作業環境の安全条件を改善し、労働者の健康を守ることを目的としたさまざまな予防措置、監視手順、およびトレーニングコースを実施しています。

この取り組みにより、OHSAS 18001認証からの移行プロジェクト完了後に、2021年9月に発行されるISO 45001規格による安全衛生マネジメントシステムの認証を取得することができました。

インクルージョンと機会均等の推進

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)と国連および ILO(国際労働機関)の国際条約は、当社の事業とガバナンスを人権の尊重と推進に向けて方向づけるための重要な基準です。

当社の従業員は男性が多く、この分野の一般的な傾向を反映していますが、当社ではすべての人に平等な機会と最大限の包括性を確保することに一貫して取り組んでいます。

2021年度 2022年度 合計
女性従業員 63名 116名 + 84%

28,703

提供されたトレーニングの時間


72%

新入社員へのトレーニング

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サステナビリティに対する意識を高め、すべてのステークホルダーが同じ文化を共有できるよう、ステークホルダーエンゲージメント活動を積極的に行っています。

計6回開催
国際サステナビリティ
シンポジウム

12.4万ユーロ
寄付、および寄贈

36名
奨学金授与

意識改革の推進

当社は、2014年以降、さまざまな事業分野の国際的な専門家によるサステナビリティに関する意識向上と対話・相互交流を目指して、強固なステークホルダーエンゲージメント活動を推進・育成しています。このような活動を推進することで、ステークホルダーの関与を促し、サステナビリティに対する認識を高め、同じ文化を共有するための手段を確立しています。

国際サステナビリティシンポジウム

初回

サステナビリティと
新しい自動車バリューチェーン

ベネチア、2014年10月

第2回

持続可能性へのグローバルな
道のりにある自動車エコシステム
アジアにおける視点

ベネチア、2015年10月

第3回

サステナビリティと企業価値
東京、2016年10月

第4回

変化への対応:
地球温暖化と脱炭素化

ベネチア、2018年3月

第5回

社会と関わり、
脱炭素を展開する方法

ベネチア、2019年2月

第6回

グリーンウォッシングと持続可能性:
取り組むべき成長トレンド

ベネチア、2021年10月

地域社会への貢献

地域の取り組みを応援

私たちは、Confindustria UmbriaがTerni e NarniのCassa di Risparmio財団の資金援助を受けて推進する「都市再創造プロジェクト」に参画しています。このプロジェクトには、テルニ地方の数多くの企業が参加し、地域の活性化を目指しています。

私たちは36名に奨学金を授与しました。
- ナルニ市内に住む優秀な学生上位15名
- 従業員の子供たち21名

インターンシップは5件行いました。
- テルニ技術研究所でのワークスクールプログラムを含むインターンシップ3件
- ITSウンブリアでのカリキュラムインターンシップ1件(技術革新と開発)
- 新卒社員を対象としたインターンシップ1件

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私たちは、これからも透明性の高い事業運営を続け、当社のこれまでの歩みをひとつひとつ評価し、13年間にわたるカーボンニュートラルの実績を積み重ねていきたいと考えています。

2022年度に
42,461トンのCO2
を削減

コージェネレーション
および
トリジェネレーション
プラントにより、
15,272トンのCO2
を削減

廃棄物の49%
を回収

気候変動への対応

Alcantaraは、イタリアで初めてカーボンニュートラルを達成し、国際的な独立認証機関であるTÜV SÜDから認定を受けた世界初の工業会社の1つです(2009年)。 毎年、生産工程(原材料を含む)から製品の耐用年数の終了まで、事業活動と製品に起因する二酸化炭素の排出量を測定して最小化し、残留する排出量(現在利用可能な技術では除去できない)を相殺し、PAS2060の認証を受けたカーボンニュートラルな製品をお客様に提供しています。

主な環境活動の実績(2022年度)

エネルギー

8,207 TOE
コージェネレーション
およびトリジェネレーションプラントにより
節約されたエネルギー量

排出量

15,272トンのCO2
コージェネレーション、
トライジェネレーションプラントにより
削減

廃棄物

廃棄物の49%を回収

水の消費量

419,000 m3
工業用水を回収

環境認証

UNI EN ISO 14001規格による環境マネジメントシステム(EMS)の認証
(2000年以来)

カーボンニュートラル認証
(2009年以降)

ISO 50001によるエネルギー認証
(2017年以降)


電気自動車のための太陽光発電

2022年3月、ミラノ本社に114kWの太陽光発電所の設置を完了しました。これは、電気自動車やハイブリッド車へのシフトに伴い、当社の保有車両を入れ替えていることを踏まえ、主に電気自動車の充電ステー ションに使用するためです。


残留排出物のオフセット

排出されたCO2をオフセットするために、私たちは、世界の貧しい地域、恵まれない地域、未開発の地域における、再生可能エネルギーによる発電を目的とした第三者による認証・検証済みのオフセット・プロジェクトを支援しています。

プロジェクト名 タイプ 標準 株式
コル風力発電所 風力 GS版 トルコ 5,000
グジャラート太陽光
発電所のチャランカ
太陽 VCS インド 5,481
新 疆阿楽台
華寧水力発電所
水力発電 CDM 中国 25,896
ブジャガリ水力 水力発電 CDM ウガンダ 5,900
ウルバット
水力発電
水力発電 VCS トルコ 184

42,461トンの
CO2オフ

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私たちは、バイオベースポリマーや消費者から回収された再生ポリエステル*
をより多く使用した特別な素材の実用化に向けて、本格的な取り組みを開始しました。

10.5%
のポリエステルが
部分的に
バイオ由来PET

R-EVOのリサイクル
クレームスタンダード認証

とマルチレイヤーEVO

売上高の23%
水性製品

生産工程の開発

製品の品質と消費者の安全を確保するため、責任を持って生産に取り組んでいます。
性能は維持したまま、製造工程の流れで環境負荷を低減するために開発された、以下のようなさまざまな独自技術の導入に成功しています。
革新的な原材料の使用
高度な染色技術による、水の消費量の削減と排水の一部の再利用。

*部分的にバイオベースのポリエステルやリサイクルポリエステルの実際の含有量は、各製品の技術仕様に記載されており、社内で証明された証拠が文章化されています。

取得した製品の認証

個々のブランド/ファミリーに有効

エコテックス規格100(1995年以降維持)

ICEA ICEA-TX-249による認定

EU指令2002/75/CEおよび96/98/CEに基づくIMO MED(船舶用)(2025年まで)

EU指令89/106/ECに基づくCPD建設製品の認証

サステナブルなイノベーションの創造

サステナビリティと循環型経済に関する計画に沿って、化石燃料由来のポリマーの使用量を減らしながら、バイオベースとリサイクルポリマーの含有量をこれまで以上に増やした新製品に注力しています。

部分的なバイオベースのポリマー

バイオマス由来のエチレングリコールを使用したポリエステルポリマーを使用しています。

リサイクルポストコンシューマーポリマー

ヨーロッパでは消費者から回収された廃棄物を機械工程後にリサイクルし、トレーサビリティがある認証されたポリエステルを使用できるよう細心の注意を払っています。

複雑な製造工程の開発

ネラモントロに新設されたコンプレックスマニュファクチャリング部門は、複雑な技術を組み合わせて極限までカスタマイズした製品を開発し、お客様にすぐに使える完成品を提供することが可能です。

この新部門の特徴は、次のとおりです。
- 高度な技術の使用
- プロトタイプ製作の増加により、開発中または既に開発済みの製品にサポートを提供

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