2024年
サステナビリティ
レポート
第15版

より良い
未来のために

ニーズの
バランスを
取って

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すべての人々の未来を約束するにあたっては、社会、経済、環境のニーズのバランスを促進することが欠かせません。

CEO
メッセージ

ご関係の皆様へ

当社が初めてサステナビリティレポートを発行してから15年が経ちました。当社は、サステナビリティを一時的なトレンドやニーズではなく、絶対的に必要なことと捉えています。私たちには気候の変動を抑制し、再生不可能な資源の保全を通じ、将来の世代を守る責任があります。

続けて読む

エウジェニオ・ロッリ
アルカンターラ S.p.A. CEO
兼ジェネラル・マネージャー
  • 革新素材
    ALCANTARA®
  • 独自の技術から生まれた
    ALCANTARA®
    Alcantara S.p.A. の
    登録商標です。
  • ALCANTARA®の製造・販売を
    行う世界で唯一のイタリア企業
    アルカンターラ S.p.A.

ミラノ

本社

従業員数 90名

ネーラモントーロ
(テルニ県)

生産拠点および研究開発 センター所在地

従業員数 560名

アルカンターラの利用分野

自動車

インテリア、コントラクト、
海洋・航空

ファッション&
アクセサリー

家電製品

第1の
ニーズ

アイデンティティとガバナンス

バランスの
必要性

サステナビリティに関するグローバルな課題に対応するには、幅広いニーズや優先事項を考慮し、それぞれのバランスを取り、すべての人への未来を確保することが欠かせません。

重要ポイント

2009年

以降カーボンニュートラル

15

認証サステナビリティレポート15本を
自主作成

当社独自のサステナビリティアプローチ

当社のサステナビリティレポートおよびカーボンニュートラルステータスは、毎年独立した第三者機関による認証を受けています。オフセットが絶対的な解決策とはならないことは認識しつつも、当社はカーボンニュートラルステータスを維持してまいります。バリューチェーンを超えた気候変動対策を加速化させるにあたり、オフセットが不可欠なツールとなると確信しているためです。

15年連続カーボンニュートラル

サステナビリティのパイオニアである当社は、2009年にTÜV SÜDからカーボンニュートラル(1)の認証を受けています。

国連グローバル・コンパクトを7年連続支持(2)

毎年、UNGCの10原則に関する当社の活動と慣行についてを開示し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)17項目のうち16項目への貢献を通じて、サステナビリティへの長期的な取り組みを継続しております。

(1)カーボンニュートラル認証は、認証・検証オフセットプロジェクトから生じるカーボンクレジットにより温室効果ガス排出量をオフセットする原理に基づいたものです
(2)2024年度の報告書作成時点で、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・イタリアのマニフェスト「Imprese per le Persone e la Società」(人々と社会のための企業)を遵守

2022年から2025年までのサステナビリティ計画の概要

サステナビリティの目標設定、達成方法定義のための4つの柱と23の具体的な目標

地球
環境の持続可能性
気候変動
カーボン
ニュートラル
循環型経済
エネルギー
効率
水利用量
再生可能燃料
環境への影響
社会の持続可能性
労働安全
衛生
企業の
社会貢献
活動
芸術・文化の振興
トレーニング
アルカンターラブランド
としてのサステナビリティ
への貢献
社会に影響を与える
国際プロジェクト
若年層の雇用増加
繁栄
経済の持続可能性
サプライチェーンの動員
持続可能性のための
イノベーション
持続
可能性の
ための投資
税の透明性
サステナビリティ経営
サステナビリティ
ガバナンス
サステナ
ビリティ
計画書の
作成
非財務報告
ステークホルダー
エンゲージメントと評価
サステナ
ビリティ
ガイダンス
委員会
透明性と
リスク評価

第2の
ニーズ

経済の持続可能性

レジリエンスの
必要性

複雑な情勢においても、当社は厳格な説明責任基準に則り、サプライチェーンとの強固な協力体制を確立しながら事業を継続しています。

重要ポイント

€6600万

の経済価値・ 付加価値

47%

国内サプライヤー率47%

€2200万

の投資

厳しい世界情勢の持続

地政学的緊張状態の持続とそれに伴うインフレの進行による、原材料費や公共料金の高騰は、当社の販売市場にも影響をもたらし、昨年末から続く大幅な減速が、2024年度第4四半期にはさらに顕著になりました。こうした厳しい状況においても、当社は経済的に持続可能な方法で事業を運営し、お客様とサプライヤーに安定性を提供しております。

サプライチェーンの
戦略的重要性

サプライヤーの選定と管理は、当社のサステナビリティ、品質、安全に関する方針を確実に遵守するためのさまざまな方策、手順に則って行っています。

企業の社会的責任に関
するサプライヤー評価

過去3年間で70件の監査
(うち第2者監査機関による実施:31%)
優先サプライヤー合計:126
スーパーコアサプライヤー:46
コアサプライヤー:80
認定サプライヤー合計:61
認定スーパーコアサプライヤー:34
認定コアサプライヤー:27

売上内訳

地域別
17% その他
65% EU
6% アメリカ
12% 中国

投資内訳

健康・安全:€380万
環境:€210万

健康・安全・
環境に
€590万
15.06% 土壌汚染
64.15% 健康・安全
6.27% 大気汚染
14.52% 水質汚染

2024年度に入り当社は、2023年度にインテーザ・サンパオロ銀行から受けた€4000万のサステナビリティローンの融資要件について、環境基準に従った調達および従業員福祉プログラムの開発の継続に充てました。

調達、輸送、エネルギー供給等に際しての環境への配慮を目的とした社内方針を導入し、年間売上高の1%に相当する€195万2000を従業員の福利厚生に充当いたしました。

 

第3の
ニーズ

人の持続可能性

人材に関する
ニーズ

従業員の献身、プロフェッショナリズム、スキルなくして、当社の経済や社会における環境的価値の創造からなる、事業関係の皆様への提供は成し得ません。イノベーションを推進し、持続可能目標の達成を確実にする当社従業員は当社の成功の基盤です。

重要ポイント

ゼロ

2024年度の業務関連の負傷件数ゼロ





+41.3%

2014年度比で従業員数41.3%増

25%

上級管理職の変動報酬の25%はサステナビリティ目標の達成に対する報酬

人材こそ成功の鍵

当社の人材管理方針の根幹を成す基本理念です。当社ではあらゆるレベルにおいて説明責任を促進し、職務への敬意を絶やさず、管理職、従業員間の良好な関係を築き、部門横断的に業務を行うことを目指しています。

人材の成長とモチベーション向上のための5つの要素
  • 企業、個人、チーム目標の伝達と共有
  • すべてのレベルにおける職能的向上を目的とした研修計画の開発
  • 得られた結果の管理とフィードバック
  • 社内での公平性、市場競争力、成果の評価を確実なものにする報酬方針の実施
  • チームワークと事業プロセスの理解

健康と安全

当社の健康管理システムは、最高レベルに当たるISO 45001規格の認証取得を実現しています。
当社では長年にわたり、職場環境の安全条件の改善と従業員の健康と安全の保護を目的に、予防、監視、トレーニングの実施に取り組んでいます。

「ゼロアクシデントプロ
ジェクト

現行基準で定められた安全管理を改善するための行動を策定し、「ゼロアクシデント」を達成することを目的とした「ゼロアクシデントプロジェクト」を立ち上げています。

労働者の福利厚生

従業員のウェルビーイングを促進・増進するため、全従業員に労働協約規定を上回る追加給付を保証しています。
1%
従業員福利厚生への
2024年度収益充当率

トレーニングの価値

従業員の成長と自己実現を促進するためには、人材育成が不可欠であると考えています。
32,066時間
2024年度のトレーニング実施
時間
(うち74.46%が新入社員研修)

相乗り

従業員間での相乗りのリクエスト、提供、移動計画策定を可能にするスマートフォンアプリ「UP2GO」の提供プロジェクトを立ち上げました。
このアプリは、乗車回数や乗車距離と排出CO2の削減量をモニタリングします。それを基にユーザーへクレジットを割り当て、四半期ごとに経済的インセンティブを授与することができます。
2023年12月1日から2024年3月31日の期間におけるプロジェクト参加者の乗車距離は合計25,302kmでした。UP2GOの推定によると、これは7,689kgのCO2排出削減に相当します。

第4の
ニーズ

社会の持続可能性

エンゲージメントの
必要性

当社が掲げるすべての使命に、関わる全ての関係者が組織の枠を超えても関与し協力が得られ支持される、そんなサステナビリティへの取り組みを当社は目指しています。

重要ポイント

22

のイベントおよび共同ブランドイニシアティブ

50

2024年度奨学金授与件数50件

€10万5000

地域社会への寄付
および拠出金として
€10万5000

イベントおよび共同
ブランド活動

当社では、グローバル・ライフスタイル・ブランドとして、毎年すべての主要市場において、当社メッセージと価値観の普及、強化イベントを開催しています。2024年度には、お客様やステークホルダー、デザイン業界、エンドユーザー様との対話の手段として、デジタルコミュニケーションの利用を強化しました。

また創業以来、さまざまな分野で世界をリードするラグジュアリーブランドとの共同ブランド活動にも積極的に取り組んでまいりました。

アーティストやデザイナーの創造力を刺激する当社製素材は、一流の美術館や国際機関に展示される作品にも多くお使いいただいています。

地域コミュニテ
ィの支援

地域の福祉向上に貢献するさまざまな慈善団体をはじめ、文化的イニシアティブの支援や資金提供により、地域社会全体の共有価値の創造に取り組んでいます。

奨学金

過去10年の間に、テルニ県ナルニで学ぶ最も優秀な学生137名(2024年度は15名)と、従業員児童240名(2024年度は35名)向けに奨学金を授与してまいりました。

「バリアフリー賞」

2024年度は、障害を持つ9名のお子様のご両親向けに、総額約€4,000の支給をいたしました。
(2015年以降、66世帯に支給)

教育機関研修

I.T.S.ウンブリアにて6回のカリキュラム・インターンシップを行い、テルニ工科大学の3回を含め合計9回の就学・就労プログラムを実施。2013年から現在に至るまでに、インターンシップ修了後の学生を24名採用しています。

ロイヤリティボーナス

2024年度に勤続25年を迎えた従業員21名へ、ロイヤリティボーナスとして総額€1,050分の燃料バウチャーを授与しました。

企業託児所

2012年以降、従業員児童35名(2024年度は5名)が利用。€35,000近くを充当しております。

都市再生プロジェクト

コンフィンドゥストリア・ウンブリア主催、カッサ・ディ・リスパルミオ・ディ・テルニ・エ・ナルニ財団の資金援助により、持続可能な開発、都市製造、地域内の社会再生促進を目的としたプロジェクトに取り組んでおります。2024年1月、TURN テルニ・ナルニ都市再生ビジネスネットワークでは、イタリアで初めて「持続可能なコミュニティ経営」に関するISO 37101認証を取得しました。

第5の
ニーズ

環境の持続可能性

気候変動対策の
必要性

当社では今後のあらゆる事業活動を、エネルギー効率、循環経済、サプライチェーンの効率化に焦点を当てた行動計画に基づいて展開してまいります。またその間も、カーボンニュートラルのステータスを維持してまいります。これは当社が、オフセットについて、バリューチェーンを超えた気候変動対策の加速化に不可避な手段であると考えているためです。

重要ポイント

42,886トン

2024年度CO2排出量42,886トンをオフセット

6.5%

2022年度以降、カテゴリー1およびカテゴリー2で6.5%削減

68%

の廃棄物を回収

気候変動への当社の
アプローチ

当社の生産活動が環境に及ぼす影響としては、主に大気排出、水排出、廃棄物の発生が挙げられます。
当社では自社生産活動が環境に及ぼす影響を軽減、削減するため、常に以下に取り組んでいます。
  • 環境効率の改善
  • 喫緊の環境問題に関する従業員研修
    およびブリーフィング
  • 社外への認知度向上

カーボンニュートラル

当社では2009年以降カーボンニュートラル認証を継続取得しています。これは、認証・検証オフセットプロジェクトへの参画を通し、当社の排出するCO2全量分をオフセットできるだけのカーボンクレジットを取得することで実現しているものです。

当社では、当社バリューチェーンを超えた気候変動対策の加速化、世界のCO2排出量の削減を確実に実現するための有用なツールとして、カーボンクレジットを捉えています。

当社の支援プロジェクトは毎年、影響の及んでいる地域に実質的な社会的利益をもたらしています。

2024年度には、埋立地ガス発電および水力発電により、CO2排出量換算で合計42,886トン(3)をオフセットするカーボンクレジットを取得いたしました。

(3)トン = メートルトン

プロジェクト
チョルフ川水力発電所
プロジェクト
海城市埋立地ガス発電
プロジェクト種別
水力
埋立地ガス
基準
VCS
VCS
場所
バトゥミ (ジョージア)
海城市(中国)
発電量
12,259
30,627

主な環境パフォーマンス

エネルギー

6,401石油換算トン(4)
当社コージェネレーション
およびトリジェネレーション設備により節約

(4)2023年度

排出量

4,860トンCO2 e
2022年度以降カテゴリー1(5)
およびカテゴリー2(6)の削減

(5)カテゴリー1 – 直接排出
(6)カテゴリー2 – 輸入エネルギーによる温室効果ガスの間接排出量

工業用水

264,128 m3
回収達成

自家発電

497.5GJ
ミラノ本社およびネラ・モントロ工場における
太陽光発電

太陽光発電所

2023年度にミラノ本社に設けた太陽光発電設備により、2024年度に114MWhの電力を生産。うち94%を自家消費、6%を送電網供給いたしました。

本社の電力需要の17.3%を自家発電による再生可能エネルギーで賄うことができました。加えて、ネラ・モントロ工場にも300kWの太陽光発電システムの設置も完了しました。

太陽光発電設備は2023年12月から稼働しており、自家発電量は 24.2MWh に上っています。

取得環境認証





1
環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得

2000年以降
UNI EN ISO 14001 準拠

2
認定カーボンニュートラル達成

2009年以降PAS2060

3
ISO 50001 エネルギー認証取得

2017年以降

第6の
ニーズ

製品の持続可能性

イノベーションと
循環の必要性

新技術開発、循環型ビジネスにより、未来の世代のために資源を保全することができます。

重要ポイント

7.7%

機械リサイクルPETの7.7%を紡績に使用

91%

のファッション製品にバイオベースのポリエステルを部分使用

4%

売上高の4%を研究開発に投資

アルカンターラの
主な特徴

  • 高度なカスタマイズ性
  • 汎用性
  • 軽さと強さ
  • 通気性
  • 外的物質への耐性
  • 美しさと肌触り
  • ブランドの地位
  • イタリアの職人技
  • カーボンニュートラル

当社の製品認証

単一ブランド/シリーズ向け

1
エコテックス規格100

2
リサイクルクレーム規格

3
IMO MED

欧州指令2002/75/ECおよび96/98/ECに基づく認証

4
CPD 建設

欧州指令89/106/ECに基づく製品認証

自動車コンセプトブ
ック

自動車市場向けの当社スタイル提案として自動車コンセプトブックをご用意しております。新コレクションもこれまでのコレクションと同様に、複数のデザインオフィスやカラー&トリムオフィスより直接発表し、高い評価をいただきました。2023年の自動車コンセプトブックは、スタイルを巡る旅を着想源に、3つの異なる未来のビジョンを語る3冊で構成しております。3つのビジョンを、電気溶接やレーザー穿孔等、既に確立されている技術、そして目に見えない刺繍やパラメーター開発によるパターン等、より複雑な新技術を駆使して表現しています。

持続可能な循環型経済
へのアプローチ

2024年度は紡績に使用する一部のバイオベースを、PETポリマーと機械リサイクルPETポリマーへの割合を増やし、化石由来原料を一部代替しました。

懸命な取り組みによりリサイクルPET製品をさまざまなお客様の認定をいただいた結果、自動車業界での販売増加を実現することに繋がりました。また当社研究開発部門で開発、多様化を継続している水性製品の現在の売上は、数量ベースで総売上の22%を占めています。

また最近、第12回アルカンターラMAXXIプロジェクトの一環で、ヴェネツィアのチェルトーザ島「BioGrounds」のコンセプトを紹介した「Seed Bed」(シードベッド:苗床)展より、PETプラスチックやポリエステル繊維の廃棄物をバージン品質にアップサイクルする GR3N 特許技術、マイクロ波アシスト脱重合(MADE)にて、当社素材の回収を行いました。

素材を回収することで、インスタレーションに使用された材料をGR3N技術で再生することに成功し、パイロットスケールでの同技術の有効性と回収モノマーの品質の立証ができました。